腎臓機能低下と高血圧
慢性腎臓病(CKD)患者さんの降圧治療

慢性腎臓病(CKD)患者さんで、血圧が高い方の降圧治療は、腎臓のはたらきに注意しながら行われます。
したがって、目標血圧や優先して用いられるお薬が一般の高血圧症患者さんとは少し異なります。主治医の指示にしたがって適切な治療を行いましょう。

慢性腎臓病(CKD)患者さんの目標血圧

降圧目標130/80mmHg

腎臓機能の低下と高血圧の悪循環を断ち切ってCKDの進行をおさえるためには、血圧を収縮期130mmHg以下/拡張期80mmHg以下にコントロールすることが目標とされています。
また、65歳以上の高齢者では急激に血圧を下げることはさけ、まず140/90mmHg以下を目標にします。そして、腎臓機能などを確認しながら最終的に130/80mmHg以下を目標に慎重に降圧します。
まずは食塩の摂り過ぎや太り過ぎに注意し、禁煙や適度な運動など生活習慣の改善を行うことがとても重要で、それでも血圧をうまくコントロールできない場合は、薬による治療もあわせて行います。この際、急激に血圧を下げると腎臓のはたらきを逆に悪化させてしまうこともありますので、たんぱく尿や血清クレアチニン値によって腎臓のはたらきを確かめながら治療を進めることが大切です。

血圧を下げる薬にはどんな種類がある?

腎臓のはたらきが低下している患者さんには、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)やアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬がよく使われます。これらは、血管を縮めて血圧を上げる作用をもつホルモン(アンジオテンシンⅡ)に作用して血圧を下げることで、腎臓を保護する効果もあり、まず最初に使われるお薬です。
しかし、これだけでは血圧が目標値まで下がらないこともあり、この場合はカルシウム拮抗薬や利尿薬を組み合わせて治療が行われます。

降圧薬の種類

特に糖尿病を合併し、たんぱく尿があるCKD患者さんは、ARBやACE阻害薬が第一選択薬となります。

*CKD診療ガイド2012(社団法人 日本腎臓学会 編)より

降圧治療の重要性

高血圧の治療を適切に行うことによって血圧が下がる度合いが大きくなれば、腎臓のはたらきが低下する速度も遅くなることが報告されています(図1)。そうすれば、透析療法を受ける可能性も心血管疾患による死亡のリスクも少なくなり、患者さんにとって大きなメリットとなります。

図1 GFRの低下速度と血圧値の関係

これはGFR(糸球体濾過量:腎臓がどれくらい老廃物を濾過する能力があるかをあらわす値)の低下速度と血圧値の関係をあらわしたグラフです。高血圧の治療を行っていない患者さんではGFRの低下速度が速く、腎臓のはたらきが悪化していることがわかります。逆に、血圧をコントロールできている場合はGFRの低下速度、つまり腎臓機能の低下速度が遅くなることがわかります。

このように、腎臓を保護しながら適切な血圧コントロールを行うことによって、慢性腎臓病(CKD)の進行を防ぐことができるだけでなく、その後に起こりうる末期腎不全や心血管疾患のリスクを少なくすることができます。治療の進め方については患者さんそれぞれの病態によって異なりますから、主治医とよく相談し、指示にしたがうようにしましょう。

自分でできる腎臓の健康チェック あなたの腎臓は大丈夫?

腎臓機能低下と高血圧 腎臓と血圧の関係

ページTOP