KHK4827の乾癬を対象とした国内第3相臨床試験結果のお知らせ

協和発酵キリン株式会社(本社:東京千代田区、代表取締役社長:花井陳雄、以下「協和発酵キリン」)は、この度、乾癬※1 を対象として開発中のKHK4827(一般名:Brodalumab※2 )について、局面型皮疹を有する乾癬(尋常性乾癬※3 および関節症性乾癬※4 )を対象とした国内第3相継続長期投与試験、ならびに膿疱性乾癬※5 及び乾癬性紅皮症※6 を対象とした国内第3相試験をおこない、本剤の長期投与における有効性と安全性を確認しましたので、お知らせいたします。

KHK4827は、IL-17※7 受容体に対する完全ヒト抗体です。IL-17は乾癬をはじめとする自己免疫疾患の発症に関与することが予想されています。IL-17の機能を阻害することができれば、病態進行の抑制、もしくは治療薬になることが期待されています。

試験概要と結果は以下の通りです。

1.局面型皮疹を有する乾癬患者を対象とした国内第3相継続長期投与試験

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試験デザイン 多施設共同非盲検長期投与試験
症例数 145名
有効性 52週時点におけるPASIスコア※8 改善率は140mg投与群で91.1%、210mg投与群で94.0%であり、長期的な効果の維持が確認されました。
安全性 試験期間中、臨床的に問題となる事象は認められず、本剤の長期投与における安全性が確認されました。
2.膿疱性乾癬(汎発型)患者及び乾癬性紅皮症患者を対象とした国内第3相長期投与試験

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試験デザイン 多施設共同非盲検長期投与試験
症例数 30名
有効性 速やかな症状改善が認められ、主要評価項目である全般改善度※9 は、最終評価時点(52週)では、63.3%(30名中19名)が寛解、33.3%(30名中10名)が改善、3.3%(30名中1名)が悪化であり、高い有効性及び長期的な効果の維持が確認されました。
安全性 試験期間中、臨床的に問題となる事象は認められず、本剤の長期投与における安全性が確認されました。

これらの試験結果につきましては、2015年3月に開催された第73回米国皮膚科学会で発表しました。

協和発酵キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。

  • ※1乾癬
    慢性の皮膚疾患の一種。典型的な症状として、浸潤・肥厚をともなう境界明瞭な紅斑が全身に現れ、銀白色の鱗屑を認めます。かゆみ、関節炎症状及び爪の変形を伴うこともあります。
  • ※2Brodalumab
    2010年10月に、協和発酵キリンがキリン・アムジェン社から日本およびアジア諸国における独占的、開発・販売権を取得した開発候補品です。
  • ※3尋常性乾癬
    乾癬のおよそ90%がこの症状です。機械的な刺激を受けやすい肘・膝、臀部や頭部に、紅斑や鱗屑が出現します。
  • ※4関節症性乾癬
    皮膚症状に加えて関節炎の症状をともなう病型を呼びます。皮疹の程度とは必ずしも相関せず、強い関節の腫れや痛みを伴うことがあります。関節リウマチと似た症状を示しますが、一般的には血液検査でリウマチ反応は認められません。
  • ※5膿疱性乾癬(汎発型)
    乾癬のうち、発熱や倦怠感をともない、全身の皮膚に発赤とともに膿疱が多く出現する病型を呼びます。乾癬の中では重症で、ときに生命を脅かす全身炎症性疾患で国内では難病に指定されています。
  • ※6乾癬性紅皮症
    乾癬の皮疹が拡大し、全身に広がって赤くなった状態をいいます。発熱や倦怠感をともなうことが多くあります。
  • ※7IL-17
    IL-17は体内で造られるたんぱく質で、白血球などから分泌されますが、過剰に分泌されると本来外からの異物を排除する免疫システムが自分自身を攻撃するといわれています。
  • ※8PASIスコア
    PASIは、Psoriasis Area and Severity Indexの略。乾癬の症状の重症度を点数化してあらわす指標の一つです。全身を頭部・体幹・上肢・下肢の4つの部位に分け、どの部分に、どのくらいの範囲で、どの程度の病変(紅斑・浸潤・落屑)があるかを調べます。
  • ※9全般改善度
    PASI スコアや乾癬所見の推移から、医師が寛解、改善、不変、悪化の4 段階で評価したものです。
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