ニュースリリース

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2010年12月7日

KW-0761(抗CCR4ヒト化モノクローナル抗体)の
再発又は再燃成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)を対象とした
国内第2相臨床試験の結果のお知らせ

 協和発酵キリン株式会社(本社:東京、代表取締役社長:松田 譲、以下「協和発酵キリン」)は、2010年12月4日から7日まで米国フロリダ州オーランドで開催された第52回米国血液学会(American Society of Hematology:ASH)において、当社が開発中のKW-0761の日本での第2相臨床試験の結果が発表されましたことをお知らせいたします。

 KW-0761は、当社独自の強活性抗体作製技術「POTELLIGENT®(ポテリジェント)注1」を用いて作製したヒト化モノクローナル抗体で、CCR4注2を抗原として認識して、標的細胞をADCC注3作用で攻撃します。

 発表された演題(抄録番号285)は、化学療法奏効後の再発又は再燃成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)注4を対象とした多施設共同第2相臨床試験の内容で、名古屋市立大学病院・血液内科の石田高司先生より口頭発表されました。本試験では、KW-0761を1.0 mg/kgの用量で、週1回間隔で8回投与したときの有効性及び安全性が検討され、27名にKW-0761が投与されました。有害事象はリンパ球減少、好中球減少、血小板減少等の血液毒性に加え、急性輸注反応、発疹、肝酵素上昇等の非血液毒性が高頻度に認められました。しかし、対処療法により適切に対応することで管理可能であることから忍容性ありと判断されました。有効性は、主要評価項目の奏効率が50%(95%CI;30 - 70%)であることから、CCR4陽性の再発又は再燃ATLに対する有効性が確認されたと判断されました。

 なお、KW-0761については、国内で、CCR4陽性の初発未治療ATLを対象としたmLSG15療法注5とKW-0761を併用する第2相臨床試験および化学療法奏効後のCCR4陽性の再発又は再燃末梢性T/NK細胞リンパ腫注6を対象とした第2相臨床試験についても実施しております。

 協和発酵キリンは、がんを重点領域とし、抗体技術を核として画期的な新薬を継続的に創出することで、がん患者さんの治療およびQOLの向上に貢献してまいります。

<今回発表した国内第2相臨床試験の概要>

1. 試験概要

試験の目的 化学療法奏効後に再発又は再燃したCCR4陽性成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)患者さんを対象として、KW-0761の1.0 mg/kgを1週間間隔で8回投与したときの有効性及び安全性等を検討する。
目標症例数 25名
主要な評価項目 有効性(奏効率等)及び安全性

2. 主な発表データの概要

有効性 26名について有効性を判定した。
奏効率:50%(95%CI;30 - 70%) 内訳:完全寛解8名及び部分寛解5名
無増悪生存期間:中央値として約5ヶ月
安全性 27名について安全性を判定した。
血液毒性:リンパ球減少(26名)、白血球減少(18名)、血小板減少(14名)、好中球減少(14名)等
非血液毒性:急性輸注反応注7(24名)、発疹(17名)、ALTの上昇(11名)、AST(10名)の上昇、低酸素血症(5名)等

注1.POTELLIGENT® (ポテリジェント)
 当社が独自に確立した高ADCC活性抗体作製技術です。本技術を用いることで、抗体が保有する糖鎖の中のフコースを低下させた抗体を作製できます。本技術で作製した抗体は、従来の抗体に比べて、標的細胞を極めて効率的に殺傷し、高い抗腫瘍効果を示すことが動物試験で確認されています。

注2.CCR4(chemokine (C-C motif) receptor 4)
 CCR4は、白血球の遊走に関与するケモカインの受容体の一つです。CCR4は、正常組織中ではIL-4およびIL-5などのサイトカインを産生する(CD4陽性の)ヘルパー2型T細胞に選択的に発現することが知られています。また、血液がんの1種である末梢性T/NK細胞リンパ腫において高発現しています。

注3.ADCC(Antibody-Dependent Cellular Cytotoxicity(抗体依存性細胞傷害活性))
 抗原に抗体が結合すると、その抗体にマクロファージやNK細胞といったエフェクター細胞が結合します。その後、エフェクター細胞によって抗原を持つ標的細胞が殺傷されます。

注4.成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)
 レトロウイルスのHTLV-1が発症に関与している末梢性T細胞腫瘍であり、国内の患者数は約2000名です。一般的に、mLSG15療法などの多剤併用化学療法が施行されますが、移植以外に治癒が期待される治療法は確立されていません。現在、移植療法が積極的に検討されています。一方、再発・再燃例に対しては、悪性リンパ腫の治療法に準じた種々の化学療法が実施されていますが、有効な治療法は確立されていません。

注5.mLSG15(modified LSG15)療法
 ビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾロン、ラニムスチン、ビンデシン、エトポシド、カルボプラチン、シタラビンおよびメトトレキサートを決められたスケジュールで投与する化学療法です。

注6.末梢性T/NK細胞リンパ腫
 悪性リンパ腫のうち、成熟したT/NK細胞を起源とする非ホジキンリンパ腫の総称であり、末梢性T細胞リンパ腫-非特定型(PTCL-NOS)や菌状息肉症(MF)などが含まれます。

注7.急性輸注反応
 一般にモノクローナル抗体の点滴静製剤を使用する際に急性の副作用が起こる可能性があります。投与中または投与後速やかに発症が認められ、24時間以内に回復する副作用を急性輸注反応と総称します。悪寒、発熱など、軽度から中等度の症状および呼吸困難、気管支痙攣など、重度の症状があります。よって、場合によっては、予防、適切な管理および症状観察をする必要があります。



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