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慢性腎臓病(CKD)

監修:京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学 教授 稲垣暢也先生

運動療法

運動療法の意義

運動療法の目的

運動療法は糖尿病治療の基本の1つです。食後の運動により食後高血糖を抑えて血糖コントロールをよくすることや、運動を継続することでインスリンの働きをよくすることが重要な目的です。
また、2型糖尿病患者さんは、脳卒中の発症率や死亡リスクが運動療法により半減することが明らかになっています。

運動の効果

運動により、筋肉でブドウ糖や脂肪の利用が促進され、血糖値が低下します。さらに、運動を続けると、インスリンの働きがよくなり、血糖コントロールもよくなります。

運動の効果イメージ

運動療法の実際

運動のめやす

運動のめやすイメージ

運動の種類としては、散歩や自転車、水泳といった有酸素運動を中心に、筋トレなどの無酸素運動を適宜組み合わせて行います。
運動はその強さにより、筋肉のエネルギー源が変わります。強さが「中等度」かそれ以下であれば、ブドウ糖と脂肪が利用され、強さが増すにつれ、ブドウ糖の利用率が多くなります。「中等度」の強さの運動とは、自覚的に「きつい」と感じない程度で、運動時の心拍数が1分間100〜120拍以内が目安です。ただし、50歳以上の方は100拍以内にします。ウォーキングでは、1回15〜30分間、1日2回、1日あたり1万歩をめやすにしましょう。
運動はできれば毎日行うことが基本ですが、少なくとも週に3日以上行いましょう。運動の時間を作るのが難しい場合、特別な運動をせずに、日常生活で体を動かす機会を増やすだけでも、長期間継続すれば効果があります。例えば、1駅手前で降りて歩く、エレベーターを使わずに階段を使うといったことでもかまいません。

日常生活における運動量

運動によるエネルギー消費量のめやすは、1日約160〜240kcalです。
日常生活における運動では、散歩では30分間、平らな道でのサイクリングでは20分間、縄とびでは5分間をそれぞれ2〜3回行うと消費できる計算になります。
なお、運動をたくさん行ったからといって、食事を増やしてよいわけではありません。

運動の強さ 80kcal(1単位)
消費するための継続時間
運動内容
非常に軽い 約 30 分間 散歩、乗物(電車、バス立位)、炊事、家事(洗濯、掃除)、買物、軽い体操
軽い 約 20 分間 歩行(70m/分)、入浴、階段をおりる、ラジオ体操、自転車(平地)、ゴルフ
中等度 約 10 分間 軽いジョギング、階段をのぼる、自転車(坂道)、歩くスキー、スケート、バレーボール、登山、テニス(練習)
強い 約 5 分間 マラソン、縄とび、バスケットボール、ラグビー、水泳(平泳ぎ)、剣道

日本糖尿病学会 編・著:糖尿病治療の手びき 改訂第56版, p.52, 南江堂, 2014より改変

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運動療法の注意点

運動療法は、軽い運動から始めて、徐々に時間を長く、強度もやや強くしていきます。けがを防ぐために準備運動はしっかりと行い、運動に適した服装と靴で行いましょう。
体調が悪い時や暑さや寒さが厳しい時には無理をしないようにしましょう。血糖コントロールが不安定な時には、軽い運動を短めの時間で行い、血糖値の推移を観察しましょう。
運動療法は無理なく続けることが大切です。

運動を避けたほうがよい場合

血糖コントロールや合併症の状態によっては、運動を避けるほうがよいことがあります。次の症状に該当する場合は、運動を行う前に主治医とよく相談しましょう。

*血糖コントロールが悪いとき
空腹時血糖値250mg/dL以上、尿ケトン体陽性と判定された
(30分以上の運動を行う前には、血糖測定と、できれば尿ケトン体のチェックもあわせて行いましょう。)
*合併症が進行しているとき
増殖前網膜症あるいは増殖網膜症がある
腎不全の状態(血清クレアチニン 男性2.5mg/dL以上、女性2.0mg/dL以上)
起立性低血圧などの自律神経障害が進行している
足の末梢神経障害、閉塞性動脈硬化症がある
*その他の合併症があるとき
心臓や肺の病気、高血圧がある
骨・関節疾患がある
感染症、壊疽がある など

運動を避けたほうがよい場合イメージ

低血糖に対する注意

運動を行う時間は、食後1〜3時間頃がよいとされていますが、特に決まりはありません。ただし、空腹時は低血糖になる可能性があるので避けましょう。
また、インスリンや内服薬で治療している患者さんでは、運動中だけでなく、運動してしばらく時間が過ぎた後でも低血糖が起こることがあるので注意しましょう。

>> 低血糖と対処方法

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2016年5月 KK-16-03-13549