抗LIGHTモノクローナル抗体の開発に関するMedgenics社との契約締結について

協和発酵キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:花井陳雄、以下「協和発酵キリン」)は同社の保有する重症の小児炎症性腸疾患(IBD)※に対する抗LIGHTモノクローナル抗体の開発に関する契約を、米国Medgenics社(本社:米国ペンシルバニア州ウェイン、以下「Medgenics」)と締結したことをお知らせします。

この抗LIGHTモノクローナル抗体は新たな作用メカニズムを持つヒトモノクローナル抗体で、炎症性腸疾患をはじめ各種の自己免疫疾患における治療への効果が期待されており、現在第2相臨床試験に向け、開発が進んでいます。本抗体は、生体内で炎症反応を促進するサイトカインで、炎症性腸疾患や他の自己免疫疾患の再発に関与しているLIGHT分子(正式名 Lymphotoxin-like, exhibits Inducible expression, and competes with HSV Glycoprotein D for HVEM, a receptor expressed by T lymphocytes)に結合します。

今回の契約に基づき、Medgenicsは重症の小児IBDを対象として作用メカニズムを確認する探索的臨床試験を計画します。また、Medgenicsは本剤の開発活動を継続するためのオプション権を有し、探索的臨床試験終了後、このオプション権を行使する場合、Medgenicsは協和発酵キリンに数百万ドルの一時金を支払います。協和発酵キリンはその後の協業に関して、共同開発と共同販売パートナーシップ、もしくは導出の二つの選択肢から一つを選択します。いずれの選択肢においてもMedgenicsは米国およびカナダの販売権を有することとなり、協和発酵キリンが導出の選択をした場合は、欧州の販売権をMedgenicsが有することとなります。それ以外の地域の販売権は協和発酵キリンが有します。なお、二つの選択肢におけるロイヤルティや利益分配の条件などについては、両社で事前に合意されています。

協和発酵キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。

  • ※1:重症の小児炎症性腸疾患(IBD)
    炎症性腸疾患は消化管における慢性で再発性の炎症が原因であり、大腸に病変が生じる潰瘍性大腸炎と消化管全体に病変が生じるクローン病という2つの疾患に大別されます。どちらの疾患もステロイドを含む抗炎症剤や抗生物質、生物学的製剤が治療に用いられますが、発症の原因は不明であり、遺伝的な要因や環境要因が疾患発症の主たる要因ではないかと考えられています。発症年齢は多岐にわたっており、米国や欧州での患者数は約200万人います。米国での小児の患者は5万人程度と比較的多くありませんが増加傾向にあり、成人に比べ合併症や入院期間、手術や死亡の頻度が多く、重症例が多いのが特徴です。さらに小児のIBDでは身体的あるいは情緒的な影響も見られ、学校などの社会生活に支障をきたすことがあります。
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