モガムリズマブ(KW-0761)の再発性もしくは難治性の成人T細胞白血病リンパ腫に対する第2相臨床試験の初回解析結果のお知らせ

協和発酵キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:花井陳雄、以下「協和発酵キリン」)は、本日、海外におけるピボタル試験となっているモガムリズマブ(開発コード;KW-0761)の再発性もしくは難治性成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)に対する第2相臨床試験の初回解析結果をお知らせいたします。

試験デザイン

米国、欧州および中米における再発性もしくは難治性ATLの患者さんを、モガムリズマブ投薬群と治験担当医師が選択した治療を実施する群(IC群;Gemcitabine/Oxaliplatin(Gem/Ox)療法、Dexamethasone/Cisplatin/Cytarabine(DHAP)療法、pralatrexate投薬のいずれかの治療)に2:1の割合で無作為に割付けました。IC群に割付けられた患者さんは疾患進行後のモガムリズマブ投薬への切り替えが認められていました。主要評価項目を全奏効率(ORR;確定および未確定)とし、治験担当医師による評価(IA)と、患者さんの治療群を明かされず、結果を第三者的に独立して評価する委員による評価(IR)の2通りで判定しました。

試験結果

71人の患者さんのうち47人をモガムリズマブ投薬群に、24人をIC群に無作為に割付けました。モガムリズマブ投薬群の未確定ORRは、IR評価で28%(13/47人)、IA評価で34%(16/47人)でした。一方で、IC群の未確定ORRは、IR評価で8%(2/24人)、IA評価で0%(0/24人)でした。また、モガムリズマブ投薬群の確定ORR(連続した評価で約8週間奏効が持続)はIR評価で11%、IA評価で15%であった一方で、IC群では、いずれも1人も認められませんでした。また、IC群の患者さん24人のうち18人がモガムリズマブ投薬に切り替え、そのうち3人(17%)で奏効が認められました(さらに、そのうち1人は確定した奏効が認められました)。モガムリズマブ投薬群の奏効持続期間の中央値は、IR評価では5.0ヶ月、IA評価では5.5ヶ月でした。モガムリズマブ投薬群の患者さんの1人は9ヶ月以上の奏効継続を確認しました。モガムリズマブ投薬群で多く確認された治療下で発現した有害事象は、急性輸注反応(46.8%)、薬疹(19.1%)、感染症(51.1%)でした。本治験から収集された安全性に関するデータは、これまでに報告されたデータと同様でした。

本試験に関するこれらのデータは2016年6月5日に、米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)で発表されました。

協和発酵キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。

  • 注1:モガムリズマブについて
    モガムリズマブはCCケモカイン受容体4(CCR4)を標的とするヒト化モノクローナル抗体です。CCR4はATLを含めた特定の血液がん細胞に頻繁に発現しています。モガムリズマブは抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)増強に関連する協和発酵キリンの技術(POTELLIGENT®)を用いて製造され、2012年5月より日本で、再発性もしくは難治性CCR4陽性ATLの治療薬として販売されています(商品名:POTELIGEO®)。さらに本薬は日本で、再発又は難治性CCR4陽性末梢T細胞リンパ腫(PTCL)および皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)への治療薬として(2014年3月)、また、化学療法未治療のCCR4陽性ATLの治療薬として(2014年12月)適応追加承認を取得しています。
  • 注2:成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)について
    ATLはWHOの分類で成熟T/NK細胞腫瘍として扱われています。極めて悪性のT細胞リンパ腫で、T細胞がヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)に感染することに起因しています。ATLは疫学的にも地理学的にも分布が非常に明確な病気で、主に日本、カリブ海地域、南アメリカの一部、アフリカの中東地域およびサハラ地域などが多発地域であるとされています。北アメリカ、ヨーロッパ諸国のような非多発地域では、多発地域からの移民やそれらの子孫又は性的接触者が主な感染者となっています。ATLの治療(特に再発性または難治性ATLに対する治療)は確立しておらず、高いアンメットメディカルニーズがあります。
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