喘息を対象としたBenralizumab(KHK4563)第3相臨床試験結果のお知らせ

協和発酵キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:花井陳雄、以下「協和発酵キリン」)は、当社が創製した抗好酸球抗体、Benralizumab(KHK4563)の導出先であるアストラゼネカ社(英国ロンドン、CEO:パスカル・ソリオ)が、重症喘息を対象とした主要な2つの第3相臨床試験(SIROCCO試験とCALIMA試験)において、本剤が良好な忍容性を示し、かつ主要評価項目である喘息増悪率をプラセボと比較して有意に低下させたとの結果を本日公表したことをお知らせします。

今回の試験では、好酸球による炎症を伴う、症状コントロールが困難な重症喘息の患者さんに対し、2つの実薬群とプラセボ群を設け、アドオン療法におけるBenralizumabの効果と安全性を検証しました。

どちらの試験も、高用量の吸入ステロイド薬および長時間作用型β2刺激薬を服用し、ベースラインでの血中好酸球数が300cells/μL以上であった患者さんを主要解析対象としました。患者さんは、4週間ごとに30mgを投薬される群、最初の3回は4週間ごとに、その後は8週間ごとに投薬される群、そしてプラセボ群のいずれかに無作為に割付けられました。今回の試験で得られたBenralizumabの安全性と忍容性に関する知見は、従来の結果と概ね合致していました。

好酸球は、約半数の喘息患者において炎症および気道過敏性を引き起こす生物学的なエフェクター細胞であり、頻回の喘息増悪、肺機能の低下、およびクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の低下をもたらします。Benralizumabは、NK細胞等を介して抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性により標的細胞である好酸球を減少させる抗体であり、骨髄中、血中および標的組織中の好酸球を直接かつ迅速にほぼ完全に除去します。

SIROCCO試験およびCALIMA試験の結果については、今後開催される医学系学術会議にてアストラゼネカ社より発表される予定です。

協和発酵キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。

  • ※1:喘息について
    喘息は気道の慢性炎症性疾患であり、喘鳴、呼吸困難、胸部圧迫感および咳を伴います。喘息は全世界において315万人もの人々の健康と日々の生活スタイルに影響を与え続けており、2020年までにその数は400万人にも達するものと見込まれています。
  • ※2:SIROCCO試験とCALIMA試験について
    アストラゼネカ社が全世界で実施中の、Benralizumabの喘息を対象とした第3相試験プログラム(Windward Program)の中で主体をなす試験です。Windward Programは呼吸器疾患領域での生物製剤に対する第3相試験プログラムとしては最大の規模であり、世界各地における地方風の名称を各試験名としています。全世界で2511人の患者さんに参加いただいています(SIROCCO試験:1205人、CALIMA試験:1306人)。
  • ※3:Benralizumabについて
    Benralizumabは好酸球および好塩基球の細胞表層に発現しているIL-5受容体のαサブユニット(IL-5Rα)に結合するモノクローナル抗体です。Benralizumabがこの受容体に結合すると、NK細胞等を介して迅速かつ直接的に好酸球を減少させます(ADCC活性によるアポトーシス誘導)。協和発酵キリンおよびBioWaはアストラゼネカ社に対して、米国、欧州を含む国々におけるBenralizumabの独占的な開発・販売権および日本におけるオプション行使時の販売権を許諾しており、これらの国々における開発ならびに販売に関するマイルストーンおよびロイヤルティを受け取ります。協和発酵キリンおよびBioWaは一部のアジア地域におけるBenralizumabの権利を有しており、協和発酵キリンは日本でアストラゼネカ社がオプションを行使した場合に共同販促できる権利を留保しています。
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