監修:ほあしこどもクリニック 院長 帆足 英一 先生
新都心こどもクリニック 院長 赤司 俊二 先生
夜尿症を治そう!
楽しい明日のための、夜尿症対策!

夜尿症の生活指導は?
幼児期のおねしょ対策でも少しふれましたが、より具体的な生活指導について紹介します。
ご家族の方が注意すること
ご家族は、夜尿があっても、「起こさない」「怒らない」「焦らない」の3点を念頭に生活指導を行います。夜尿をしなかった朝などは、たくさんほめてあげるのもよいことです。ただ、自己流での生活指導は度が過ぎると思わぬことが起こる危険もあるので、あまり頑張り過ぎないことも大切です。
規則正しい生活のリズムの確立を
膀胱や尿道のはたらきを調節している自律神経は、規則正しい生活をしていないと、上手くはたらいてくれません。薬で治療することになっても、生活のリズムがしっかりできていないと効果もでにくくなります。規則正しい生活は、夜間の抗利尿ホルモンの分泌にも好影響を及ぼすと考えられています。毎日一定の時間に起きる、寝る、食事するようにしましょう。
水分・塩分の摂取リズムを見直す
夜間の尿量が多いタイプ(多尿型、混合型)には、重要な生活指導です。
夜尿があると、夜間の水分を減らすようにしているご家族が多いと思います。水分摂取で大切なことは、水分を制限するだけでなく、日中に多く、夕方から減らすというように、水分摂取リズムを意識することが重要です。具体的には、朝から午前中にたっぷりとって、午後から多少控えめにし、夕方から制限する。特に、就寝前2~3時間は飲水、飲食をしないようにするのが原則で、やむをえないときでも200mL(可能であれば100mL)までにすることが勧められます。

牛乳の摂取について
牛乳を多量に飲むと、蛋白質、カルシウムが過剰となり、尿量が増えて、膀胱のためも悪くなります。普通に食事がとれていればカルシウム不足にもなりませんし、背の伸びにも影響しません。飲みすぎないようにしましょう。
塩分は控えめに
塩分をとりすぎると喉が乾いて、その結果、水分をとりすぎることになります。一日の食事の塩分を控えめに。また、スナック菓子には塩分がたくさん含まれているので、できるだけ少なめにしましょう。
排尿抑制訓練(日中おしっこをがまんする訓練)
昼間も夜間も膀胱におしっこをためられないタイプ(膀胱型)には、重要な生活指導です。
膀胱のためを増やすには、おしっこのがまん訓練が有効です。帰宅後、尿意を感じたときに、おしっこをぎりぎりまでがまんさせる訓練です。
がまん尿量の目安は、6~8歳で150mL、9~11歳で200mL、12~15歳では300mL以上はためられるようにします。しかし、がまんしすぎると、膀胱にたまっている尿が膀胱から尿管から腎臓まで逆流して、腎臓をいためてしまうおそれがありますので、上記の各年齢で300mL、400mL、500mLを超えてまで、無理してためないようにしましょう。

冷え対策
冷え症状は夜尿を悪化させます。
秋から冬に夜尿が後戻りしたり、手足が冷たい、しもやけができやすい、というように、冷え症状を認めた場合には、寝る前にゆっくりお風呂にはいり、ふとんをあたためておくと改善します。入浴剤も効果的です。