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2018年5月17日PDF file:New window opensPDF版(248KB)

ブロスマブの小児X染色体遺伝性低リン血症を対象とした第3相臨床試験結果について

本ニュースリリースは、当社と当社子会社のKyowa Kirin International PLC、ならびに米国ウルトラジェニクス・ファーマシューティカルが発表した英文プレスリリースの内容を、当社が日本語に翻訳、再構成し、発表しています。本ニュースリリースの正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先しますことをご留意下さい。
New window opens協和発酵キリン 英語リリース

 協和発酵キリン株式会社(本社:東京、社長:宮本 昌志、以下「協和発酵キリン」)および当社の欧州子会社である Kyowa Kirin International PLC(本社:英国、社長:トム・ストラットフォード)とウルトラジェニクス・ファーマシューティカル(本社:米国、社長:エミル・D・カキス)は、本日、小児 X 染色体遺伝性低リン血症(XLH)注1を対象とした ブロスマブ(欧米製品名:Crysvita®注2の第 3 相臨床試験が主要評価項目を達成したことをお知らせします。

 今回の第3相臨床試験において、ブロスマブは小児XLH患者に対し、40週間の投与により既存治療(リンおよびビタミンD経口投与)に対して優れたくる病所見の改善が認められました。また、その他のリン代謝や運動機能に関する評価項目においても、ブロスマブ投与による改善が認められました。安全性については、これまで小児XLHを対象とした臨床試験で得られた結果と同様でした。

試験概要
 本試験は、第3相無作為化オープンラベル試験で、北米、欧州、オーストラリア、日本および韓国において1歳から12歳までの患者さん61名が登録され、ブロスマブ群(29名)と既存治療群(32名)との間で有効性および安全性を比較しました。本試験の主要評価項目は独立した3名の盲検下にある小児放射線専門医によって評価されたRadiographic Global Impression of Change(RGI-C)スコアに基づく、試験開始後40週時点でのくる病所見の変化としました。副次評価項目ではRGI-CスコアやThacher Rickets Severity Scoring(RSS)を指標とした追加のくる病所見の評価および、薬力学的評価、成長速度と身長の変化、歩行能力、痛みや疲労および身体機能に関する患者報告アウトカム、安全性を評価しました。全ての被験者は試験参加前に、平均して約4年間にわたり既存治療を受けていました。ブロスマブ投与群の被験者は初期用量0.8 mg/kgで2週間に1回の皮下投与を受け、そのうち5名は試験期間中に1.2 mg/kgまで用量を漸増しました。既存治療群の被験者は専門的なガイダンス資料に基づき、各担当医により最適化された各国における標準的な治療を受けました。

くる病所見に関する結果
 本試験は主要評価項目を達成し、RGI-Cスコアに基づく評価では既存治療と比較して有意にくる病所見が改善しました。この評価は独立した3名の盲検下の小児放射線専門医によって行われました。加えて、くる病の十分な治癒の判定(RGI-Cスコアが+2以上)はブロスマブ投与群では72%に認められたのに対し、既存治療群では6%でした。また、RSSによるくる病重症度を測定した結果、ブロスマブ治療により既存治療に比べ2.8倍の改善効果が認められました。

表1. 評価項目におけるスコア /エンドポイント、治療効果:ブロスマブ群29名、既存治療※群32名、群間の差(95%信頼区間:下限、上限)、P-value /RGI-Cスコア(主要評価項目)/スコア変化: +1.92、+0.77、1.14(0.83, 1.45)、P<0.0001 /十分な治癒に至った率(RGI-C > +2.0):72%、6%、オッズ比:39.193(7.238,211.656)、P<0.0001 /RSSトータルスコア /変化の最小二乗平均値:-2.04、-0.71、-1.34(-1.74,-0.94)、P<0.0001 /※リンおよびビタミンDの経口投与

臨床検査値および他の副次評価項目について
 ベースラインでは、両群の被験者はいずれも血清リン濃度や腎におけるリン再吸収レベルは正常域の下限を下回っていました。ブロスマブ投与群では投与開始後40週間を通して、平均血清リン濃度および腎におけるリン再吸収レベルは正常域の範囲内でした。既存治療群では平均血清リン濃度および腎でのリン再吸収レベルは40週の全試験期間において正常域下限値よりも低い値のまま推移しました。

表2. ベースラインおよび投与期間中の血清リン濃度値 /血清リン濃度、ブロスマブ群29名、既存治療群32名、群間の差、P-value /平均ベースライン(mg/dL):2.42、2.30、-、- /投与期間中の平均値(mg/dL):3.38、2.55、-、- /変化の最小二乗平均値:1.00、0.23、0.77、P<0.0001 /血清リン濃度の正常域下限:3.2mg/dL

 両群いずれの被験者も血清中の活性化ビタミンD濃度が上昇しており、正常域の範囲内の濃度を40週間通して維持していました。

 既存治療群に対し、ブロスマブ投与群では40週後の平均アルカリフォスファターゼ値が正常範囲内であり、有意な改善が認められました。また、ブロスマブ投与群の被験者では、統計的有意には至らなかったものの、身長z-scoreと成長速度の増加により観察される成長の改善、および6分間歩行テスト(6MWT)の歩行距離の延長によって観察される身体機能スコア改善が認められました。

安全性および忍容性について
 本試験において認められたブロスマブの安全性プロファイルはこれまでに実施された他の小児XLHを対象とした臨床試験で得られたものと概ね一致していました。本試験では、投薬の中止や死亡例の報告はありませんでした。重大な有害事象はブロスマブ投与群にて3件、既存治療群にて1件認められましたが、いずれも治療との関連性は認められませんでした。ブロスマブ投与群では45%の患者さんに注射部位反応が見られましたが、1件を除いて軽度であり、その他も重大なものではありませんでした。両群ともに、平均血清カルシウム濃度および血清副甲状腺ホルモン濃度のいずれも意義のある変動は認められませんでした。また、治療の前後において、腎臓の超音波所見において臨床的に意義のある有意な変化を認めた被験者も両群ともに認められませんでした。本試験の詳細結果は今後学会発表する予定です。

注1 X染色体遺伝性低リン血症(XLH)とは
 XLHは、遺伝的な原因により血中のFGF23が過剰となることで、体内のリンが尿中に過剰に排泄され低リン血症となり、その結果として骨の成長・維持に障害をきたす希少な疾患です。XLHは幼児から発症し、成人までその影響がみられます。小児のXLH患者さんでは、骨疾患を引き起こし、下肢の変形や低身長が多くみられます。成人のXLH患者さんでは骨折のリスクが高くなります。

注2 Crysvita(ブロスマブ)とは
 ブロスマブは協和発酵キリンにより創製された線維芽細胞増殖因子23(FGF23)に対する完全ヒトモノクローナル抗体です。FGF23は、腎臓におけるリン排泄と活性型ビタミンD産生を制御することで、血清リンおよび活性型ビタミンD濃度を低下させる液性因子です。ブロスマブはFGF23の過剰産生に由来した疾患であるXLHおよび腫瘍性骨軟化症(TIO)を対象として開発が進められています。XLHおよびTIO患者さんにおけるリン排泄亢進はFGF23の過剰な作用により引き起こされています。ブロスマブは、XLHおよびTIOの患者さんにおけるFGF23の過剰な作用を阻害することで、腎臓におけるリンの再吸収を増加させ、腸管におけるリンとカルシウムの吸収を促進するビタミンDの産生を増加させます。

 ブロスマブは2018年4月17日付に、1 歳以上の小児および成人における X 染色体遺伝性低リン血症※(2 XLH)の治療薬として、アメリカ食品医薬品局(FDA)から医薬品販売承認を取得しています、また、同剤がX線画像診断で骨疾患所見を有し、成長期にある1歳以上の小児および青少年におけるX染色体遺伝性低リン血症(XLH)の治療薬として、欧州委員会(European Commission)から条件付き医薬品販売承認を取得しています。今回の第3相臨床試験結果のデータは、欧州において検証試験として提出しますが、米国では要求されていません。



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