ニュースリリース

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2013年7月19日

モガムリズマブ適応追加申請

 協和発酵キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:花井 陳雄、以下「協和発酵キリン」)は、2013年7月19日にモガムリズマブ(一般名、製品名: ポテリジオ®)の初発未治療のCCR4注1陽性の成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)注2、再発又は難治性のCCR4陽性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)注3および皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)注4を適応症とする一部変更承認を厚生労働省に申請しました。

 モガムリズマブは、ATL細胞、PTCL細胞およびCTCL細胞などの悪性T細胞に発現しているCCR4に対するヒト化モノクローナル抗体です。本剤は、当社独自の強活性抗体作製技術「POTELLIGENT®(ポテリジェント)」注5を応用した抗体で、ADCC活性注6による抗腫瘍効果を示します。本剤は、初発未治療のCCR4陽性のATL、化学療法奏効後の再発又は再燃のPTCLおよびCTCLを対象とした開発を進めてまいりましたが、国内で実施した臨床試験の結果を踏まえ、承認申請に至りました。また、モガムリズマブは、2010 年8 月に「CCR4陽性のATL」を対象疾病として、2013年3月に「PTCL」および「CTCL」を対象疾病として、それぞれ希少疾病用医薬品注7の指定を厚生労働省より受けています。

 モガムリズマブは、「ポテリジオ®点滴静注20mg」という製品名で、再発又は難治性のCCR4陽性のATLの治療薬として、2012年5月29日から国内で販売しております。また、グローバル展開として複数の臨床試験を海外で実施しています。

 協和発酵キリンは、革新的な医薬品の開発により、ATL、PTCLおよびCTCLをはじめとしたリンパ腫を含め、様々な疾患の治療およびQOLの向上に貢献してまいります。

ATLを対象とした国内第2相臨床試験について
試験の目的 初発未治療のCCR4陽性のATL患者さんを、mLSG15療法注8単独のグループと、mLSG15療法+モガムリズマブ併用のグループに割付け、mLSG15療法に対するモガムリズマブの上乗せ効果(有効性)ならびに安全性および薬物動態を検討する。なお、モガムリズマブの投与スケジュールは、1.0 mg/kgを2週間間隔で8回静脈内投与とした。
主要な評価項目 有効性(完全寛解率、奏効率等)、安全性および薬物動態
有効性 53名について有効性を判定した(内訳:mLSG15+モガムリズマブ群29名、mLSG15群:24名)。
【完全寛解率】
・mLSG15+モガムリズマブ群:52%(95%CI;33 - 71%)内訳:29名中15名完全寛解
・mLSG15群:33%(95%CI;16 - 55%)内訳:24名中8名完全寛解
【奏効率】
・mLSG15+モガムリズマブ群:86%(95%CI;68 - 96%)内訳:29名中25名寛解(完全寛解15名、部分寛解10名)
・mLSG15群の奏効率:75%(95%CI;53 - 90%)内訳:24名中18名寛解(完全寛解8名、部分寛解10名)

完全寛解率および奏効率ともに、mLSG15群に対するmLSG15+モガムリズマブ群の上乗せ効果が認められた。
安全性 53名について安全性を判定した。
両群において発現割合の高かった事象のほとんどはmLSG15療法に伴う事象と考えられ、mLSG15療法へのモガムリズマブ併用は、本試験における投与スケジュールにおいて忍容性ありと判断した。
PTCLおよびCTCLを対象とした国内第2相臨床試験について
試験の目的 化学療法奏効後に再発又は再燃したCCR4陽性のPTCL及びCTCL患者さんにモガムリズマブ1.0 mg/kgを1週間間隔で8回静脈内投与したときの有効性、安全性および薬物動態を検討する。
主要な評価項目 有効性(奏効率等)、安全性および薬物動態
有効性 37名について有効性を判定した(内訳:PTCL 29名、CTCL8名)。
全体の奏効率:35%(95%CI;20 - 53%)内訳:37名中13名寛解(完全寛解5名、部分寛解8名)
PTCLの奏効率:34%(95%CI;18 - 54%)内訳:29名中10名寛解(完全寛解5名、部分寛解5名)
CTCLの奏効率:38%(95%CI;9 - 76%)内訳:8名中3名寛解(部分寛解3名)
安全性 37名について安全性を判定した。
モガムリズマブは本試験における投与スケジュールにおいて、忍容性ありと判断した。

注1.CCR4(chemokine (C-C motif) receptor 4)
CCR4は、白血球の遊走に関与するケモカインの受容体の一つです。CCR4は、正常組織中ではIL-4およびIL-5などのサイトカインを産生する(CD4陽性の)ヘルパー2型T細胞や制御性T細胞に発現することが知られています。また、ある種の血液がんにおいて高発現していることが知られています。

注2.成人T細胞白血病リンパ腫(ATL: Adult T-cell Leukemia-Lymphoma)
レトロウイルスのHTLV-1が発症に関与している末梢性T細胞腫瘍であり、国内の年間発症例数は約1150と推定されています。一般的に、mLSG15療法などの多剤併用化学療法が施行されますが、移植以外に治癒が期待される治療法は確立されていません。現在、移植療法が積極的に検討されています。一方、再発・再燃例に対しては、悪性リンパ腫の治療法に準じた種々の化学療法が実施されていますが、有効な治療法は確立されていません。

注3.末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)
悪性リンパ腫の大部分を占める非ホジキンリンパ腫はB細胞起源の疾患とT/ナチュラルキラー(NK)細胞起源の疾患に大別されます。さらに、T/NK細胞起源の疾患は、主な病変部位から節性形、節外性型、皮膚型および白血病型の疾患に分類されます。末梢性T細胞リンパ腫は、節性型および節外性型のT/NK細胞起源の疾患の総称です。

注4.皮膚T細胞リンパ腫(CTCL: Cutaneous T-Cell Lymphoma)
CTCLは、非ホジキンリンパ腫の1種で、T細胞リンパ腫としてはもっとも一般的な疾患の一つです。病変部位がCTCLは、菌状息肉腫(MF)やセザリー症候群(SS)などに分類できます。MFは、皮膚病変が患者によって異なり、紅斑,局面,皮膚腫瘤に分けられる。SSはMFが進行した病態で、血液中に悪性リンパ球の存在が認められます。

注5.POTELLIGENT®(ポテリジェント)
当社が独自に確立した高ADCC活性抗体作製技術です。本技術を用いることで、抗体が保有する糖鎖の中のフコースを低下させた抗体を作製できます。本技術で作製した抗体は、従来の抗体に比べて、標的細胞を極めて効率的に殺傷し、高い抗腫瘍効果を示すことが動物試験で確認されています。

注6.ADCC(Antibody-Dependent Cellular Cytotoxicity(抗体依存性細胞傷害活性))
抗原に抗体が結合すると、その抗体にマクロファージやNK細胞といったエフェクター細胞が結合します。その後、エフェクター細胞によって抗原を持つ標的細胞が殺傷されます。

注7.希少疾病用医薬品
厚生労働大臣から指定を受けるためには、次の基準をすべて満たしていることが必要とされます。
1)我が国において、患者数5万人未満の重篤な疾病が対象であること。
2)医療上、特にその必要性が高いこと(代替する適切な医薬品等、又は、治療方法がない、或いは、既存の医薬品と比較して著しく高い有効性又は安全性が期待されること)。
3)開発の可能性が高いこと(その医薬品を使用する理論的根拠があり、開発計画が妥当であると認められること)。希少疾病用医薬品に指定されると研究開発促進等の措置を受けることが可能になります(厚生労働省医薬食品局による希少疾病用医薬品・希少疾病用医療用具の研究開発促進制度)。

注8.mLSG15療法
mLSG15療法は、ATLの患者さんに対して行われる標準的な化学療法の一つです。抗がん剤をVCAP療法(V:ビンクリスチン、C:シクロホスファミド、A:ドキソルビシン、P:プレドニゾロン)、AMP療法(A:ドキソルビシン、M:ラニムスチン、P:プレドニゾロン)、VECP療法(V:ビンデシン、E:エトポシド、C:カルボプラチン、P:プレドニゾロン)という組み合わせで、1週間間隔で順番に投与し、4週間を1コースとして、原則6コース繰り返す化学療法です。また、2、4、6コース目のVCAP療法開始前にシタラビン、メトトレキサート、プレドニゾロンを髄空内注射します(髄空内注射とは、抗がん剤を脊髄周辺の領域に直接注射することです。脳や脊髄にも抗がん剤を分布させることで、これらの部位からがんが再発することを防ぐ作用があります)。なお、患者さんのお体の状態をみて、薬の投与量やコース数を減らすこともあります。



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