特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の治療

特発性血小板減少性紫斑病の患者さんの場合、血小板数や出血症状の有無、ライフスタイルに応じて、治療をするかしないか、どのように治療を行うかが判断されます。
治療では、血小板数の数値目標を設定し、血小板数を少なくとも3万/μL以上に維持できるようにします。
また、他の治療で外科的処置が行われる場合や出産時などは、一時的に血小板数を増加させる必要があります。

治療目標

血小板数10万/μL以上を維持でき、出血症状がない状態が理想ですが、治療中止(休薬)、あるいは維持量で少なくても血小板数3万/μL以上、かつ出血症状が認められない状態を目指します。

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治療の流れ

治療の流れ

治療の種類

ヘリコバクター・ピロリ菌除菌療法

胃にヘリコバクター・ピロリ菌がいるかどうか検査します。陽性であれば血小板数や出血症状に関係なく除菌療法を行います。約80%の患者で除菌効果が期待され、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌に成功した患者さんの約半数で血小板増加が認められています。*2010年6月より保険適用となりました。

*:Fujimura K, Kuwana M, Kurata Y, et al., Int J Hematol, 2005; 81: 162-168.

ヘリコバクター・ピロリ菌除菌療法

副腎皮質ステロイド療法

副腎皮質ステロイド

最も一般的な治療法です。
ヘリコバクター・ピロリ菌を取り除いても血小板の数が増えなかった人、あるいは、ヘリコバクター・ピロリ菌が陰性だった人に行う治療です。ステロイド療法は免疫を抑制する作用があり、抗体の産生や脾臓のマクロファージによる抗体結合血小板の捕捉を抑制します。
出血症状や血小板数を見ながら減量・中止または維持量を続けます。効果がある一方、副作用が生じる場合もあります。

脾臓摘出術

脾臓摘出術

手術で脾臓を取り除きます。
副腎皮質ステロイドによる治療の効果が不十分な場合や副作用により治療が続けられない場合などは、脾臓を取り除く手術を行います。血小板は主に脾臓のマクロファージによって壊されるので、脾臓を除去すると、血小板数の増加が期待されます。最近では、腹部に小さな穴をあけ、内視鏡と手術器具をいれて、テレビモニターを見ながら行う手術(腹腔鏡手術)も行われています。脾臓摘出術後の肺炎球菌などによる感染症の危険を予防するために肺炎球菌ワクチンを術前に投与します。

他の薬物療法

上述の治療が無効の場合や治療が実施困難な場合は、次の段階の薬物療法を試みます。
 
<次の段階の薬物療法にはどのようなものがあるの?>
 
血小板増殖刺激因子製剤、リツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体)、アザチオプリンやシクロホスファミド、シクロスポリンなどの免疫抑制剤やダナゾールなどがあります。
この中で血小板増殖刺激因子製剤以外の薬剤については保険適用が認められていません。

血小板増殖刺激因子製剤

血小板の親元である骨髄中の巨核球をふやすお薬で、1週間に1回皮下注射するものと毎日経口投与するものがあります。他の治療(副腎皮質ステロイドや脾臓摘出術等)にて十分な効果が得られない場合、またはこれらの治療が実施困難な場合で、血小板数、臨床症状からみて出血リスクが高いと考えられる場合に使用されます。
血小板数が安定するまでは毎週血液検査が必要です。
 
このお薬は、主に肝臓でつくられる血小板の親元である骨髄中の巨核球という細胞を増やす因子である「トロンボポエチン」と同じ作用により、血小板の産生を促進します。

血小板増殖刺激因子製剤
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生命を脅かす重篤な出血、術前や分娩前などの緊急を要する治療の場合

出血リスク軽減のため、一時的に血小板数を安全な値まで(例えば血小板数5万/μL以上)増やすための治療をします。入院治療が必要です。

免疫グロブリン製剤大量療法(IVIgG療法)

免疫グロブリン製剤大量療法(IVIgG療法)

大量の免疫グロブリン製剤を5日間連続で点滴静注します。治療開始から平均7日後に血小板数は最大値になりますが、効果は一過性で数日間です。
約64%の患者さんで10万/μL以上の血小板数増加がみとめられ、高い有効性を示します。*

*: 藤村欣吾 他. 厚生労働省 難治性疾患克服研究事業血液凝固異常症に関する調査研究:ITP治療の参照ガイド作成委員会 臨床血液 53;433-442, 2012

ステロイドパルス療法

大量のメチルプレドニゾロン点滴静注を3日間行い、以後は漸減します。効果が投与後3日目くらいから現れますが、一過性です。約80%の患者さんで10万/μL以上の血小板数増加がみとめられています。*

*: 藤村欣吾 他. 厚生労働省 難治性疾患克服研究事業血液凝固異常症に関する調査研究:ITP治療の参照ガイド作成委員会 臨床血液 53;433-442, 2012

ステロイドパルス療法

血小板輸血

輸注血小板の寿命は短く血小板数はわずかしか増加しません。免疫グロブリン大量療法と併用することで、血小板増加効果が増強します。

特定疾患の指定と医療費について