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DNA構造の発見がもたらしたニューバイオ
バイオテクノロジーという技術の中には、いったいどのようなものがあるのでしょうか?
現在、一般にバイオテクノロジーと呼ぶ場合には、主に「遺伝子組換え技術」「細胞融合技術」「組織培養技術」「バイオリアクター」などをさします。
遺伝子組換えとは、1つの生物の遺伝子の特定の部分を切り取り、これを目的とする生物の遺伝子に組み合わせることを言います。例えば、糖尿病の治療薬として利用されるホルモンであるインシュリンは、現在、大腸菌によって生産されています。これは、インシュリンの産生に関わる人間の遺伝子を大腸菌の遺伝子に組み合わせる遺伝子組換えによって実現しました。
細胞融合とは、複数の生物の細胞を1つに融合し、自然界では生まれない雑種をつくる技術です。オレンジとカラタチの細胞融合でできた「オレタチ」やポテトとトマトの細胞融合でできた「ポマト」など、ちょっと冗談のようなバイオ植物が、1970年代から80年代につくられましたが、現在では、抗体をつくる細胞と腫瘍(ガン)細胞を融合して、ガン細胞に狙いを定めて攻撃する「モノクローナル抗体」が、細胞融合技術の成果として医療の世界で重要な位置を占めています。
組織培養とは、生物の細胞や組織、器官の一部を取り出して培養する技術です。組織培養は、主に植物の栽培で活用されており、例えば、ランの特殊な組織を培養し、これを成長させることで、短い期間で大量に生産することができます。
そして、バイオリアクターとは、微生物や酵素を利用して、特定の物質を大量生産する技術です。例えば、アルコールやアミノ酸、抗生物質などは、微生物によって、自然界でもつくることができますが、大量の微生物をカプセルに入れたバイオリアクターを使うと、短時間に目的とする物質を大量に、しかも連続的につくることができます。また、医療の世界では、血液中の糖分やコレステロールなど、酵素反応を利用することで、わずかな量からでも正確なデータを得ることができます。このバイオリアクターは、「バイオセンサー」とも呼ばれます。
こうした技術が活用可能となるきっかけをつくってくれたのは、アメリカの
ジェームズ・ワトソンとイギリスのフランシス・クリックでした。ふたりは、1953年に遺伝子のDNAの構造を発見し、科学者が生物を分子のレベルで解明し、利用する時代を切り拓いたのです。そして、1970年代はじめに遺伝子操作の技術が向上し、バイオテクノロジーは、その可能性を格段に広げたのです。そこで、以上のような技術は、「ニューバイオテクノロジー」と総称されます。(次号に続く)

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