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医療分野でますます期待される幹細胞
近年、バイオテクノロジーの世界でもっともホットな話題は万能細胞の活用です。動物の臓器・器官・組織には、新しい細胞になるための細胞が存在し、「幹細胞」と呼ばれます。もしこうした幹細胞を上手に操作すれば、さまざまな組織、器官をつくることが可能であろうと科学者たちは考えました。
一方、受精卵が分裂初期(胚)にも幹細胞が存在します。これを「胚性幹細胞」と呼び、体細胞にある幹細胞である「成体幹細胞」と区別します。この胚性幹細胞はES細胞とも呼ばれますが、これはほとんどすべての種類の組織に分化することができ、ほとんど無限に増殖をくり返させることができます。その意味でES細胞は「万能細胞」の異名も持ちます。そこで、このES細胞をうまくコントロールしてさまざまな組織や器官を作成しょうとする試みが世界中で行なわれています。

 
ES細胞は再生医療の期待の星
ES細胞を培養して、細胞や組織をつくることで、具合の悪くなった部分に正常な細胞や組織を入れ、根本的な治療を行なうことが可能となるかもしれないのです。事故や病気などで身体の失った部品を体外で確保して体内に組み込み、本来あるべき形や働きに再生させる医療を「再生医療」と呼びます。もし幹細胞を素材として、バイオテクノロジーを駆使し、必要な細胞、組織、器官、臓器などをつくり出し、これを治療に利用できれば、再生医療の可能性は飛躍的に高まります。再生医療において、ES細胞は、成体性幹細胞以上に強力な武器になるであろうと予測されているわけです。
ES細胞の研究はまだスタートしたばかりであり、わからないことだらけですが、もしかしたら将来的に心臓や肝臓を作ることもできるようになるかもしれません。そして臓器移植の中心はこのES細胞からつくられた臓器という時代がくるかもしれません。

 
若すぎる技術であるがゆえに高まる期待
以上のようにバイオテクノロジーは、さまざまな場で活用され、特に医療への今後の貢献が期待されています。さまざまな技術が次々と不可能を可能にしていますが、バイオテクノロジーを人間が自在に扱うには、まだわからないことだらけなのです。つまり、バイオテクノロジーはとても若い技術であり、それゆえに今後の進歩が大いに期待されているのです。(第18話おわり/完)
 

* バイオ関連の先端研究は日々発展し続けております。本サイト内に記載された内容は全て記載日での公開研究情報に基づく内容となっております。