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バイオのルーツは新石器時代にまで溯る!?
バイオテクノロジーという言葉が、ハンガリーの技術者カール・エレキーによって1919年に誕生したと聞くと、「バイオテクノロジーって、そんなに古くからの歴史があるの?」と思う人も少なくないでしょう。しかし、バイオテクノロジーは、実は、この言葉が生まれるはるか以前から、人間に活用されてきたのです。
その代表的なものが、品種改良と発酵です。
野生の動植物を栽培・飼育するようになった新石器時代から、人類は、優れたものだけを選別して成育させたり、優れたものどうしをかけ合わせたりといった品種改良を行ってきました。その1万年に及ぶ努力の成果として、味のよい果物がなる果樹やミルクをたっぷり出すウシなどを手に入れたわけです。これも生物の機能を活用するという意味でバイオテクノロジーなのです。
さらに、カビや酵母、細菌を利用した酒やみそ、チーズ、納豆などの製造技術や酵母(イースト)を利用したパンの製造技術などは、微生物の「発酵」という機能を利用した技術なので、バイオテクノロジーの一種ということができます。

 
酒づくりに見られるバイオの知恵
人類が、もっとも早くからつくった酒は、土器などの容器に果実を入れておくだけで発酵させる果実種だったとされます。特に、酸味が強く、雑菌によって腐敗することの少なかったワインはつくりやすい酒でした。腐敗と発酵は、ともに微生物の働きで進行する現象であり、人類にとって有害なものが腐敗、有益なものが発酵というわけです。
一方、日本酒のように穀物を原料とする酒は、含まれるデンプンを糖分にかえないと発酵が始まらないので、「糖化」というプロセスが余分に必要となります。糖化を行う酵素も細菌やカビなどの微生物がつくるものですが、人間の唾液にも含まれています。そこで、古代の酒づくりでは、穀物を人が噛んだ後に、甕に入れ、発酵を待ちました。ここでは、酵素までも、その存在を知らないながら、きちんと活用していたのです。
また、20世紀に入ってから、微生物をさらに積極的に活用して工業的にアルコールや抗生物質、 アミノ酸などを生産するようになります。このように自然の中の生物の活動を観察し、その機能を意識的に利用してきた技術は、「オールドバイオテクノロジー」と呼ぶことができます。また、今日、最先端科学としてとらえられている「ニューバイオ」は、狭義のバイオテクノロジー、オールドバイオを含めた技術を広義のバイオテクノロジーと位置づけることもあります。つまり、現在、「バイテク」と言えば、遺伝子や細胞、組織をターゲットとしたニューバイオを意味することが多いのです。(次号につづく)

* バイオ関連の先端研究は日々発展し続けております。本サイト内に記載された内容は全て記載日での公開研究情報に基づく内容となっております。