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おもしろバイオ基礎講座

バイオの未来はどうなるの?! ->急がれるゲノム時代の倫理基準づくり

2001年4月26日号に掲載


国でもガイドラインを決める


遺伝に関係する学会や大学・研究機関などでも独自に倫理指針を検討したり、つくったりしていますが、厚生労働省や文部科学省なども合同で、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針検討委員会を設置して、国としてのガイドラインをこのほど決めました。
ガイドラインでは、やはり個人情報の保護に力点がおかれています。例えば、個人情報管理者を置き、外部の機関へ試料やデータを提供する際には匿名化し、十分なインフォームド・コンセントをとることなどが挙げられています。
さらに、研究結果を試料提供者に告げるかどうかについても考えられています。もし、試料提供者の遺伝情報から遺伝的な疾患のあることが明らかになったときに、告げるべきなのかどうかという問題があります。
原則として研究結果は提供者に開示することになっています。しかし、提供者が自分の遺伝情報を知りたくないと言えば、無理に開示しないとしています。知る権利もあるのですが、知らない権利もあるということを配慮しているのです。
また、原則開示としているために、もし重大な遺伝的疾患の可能性があるときには、遺伝カウンセリングを受けられるように配慮することになっています。しかし、日本ではまだ遺伝カウンセリングをきちんとできるような教育、経験を積み重ねた人が少ないのも問題です。日本人類遺伝学会や日本遺伝カウンセリング学会では、医師や看護師らを対象に遺伝カウンセラーを養成しています。遺伝カウンセラーにふさわしいと認められれば、臨床遺伝専門医として認定されることになっています。
また、ゲノム研究の倫理問題に関しては、厚生労働省、文部科学省と経済産業省の3省共同で「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」を作成し、2001年4月から施行しています。指針は「人間の尊厳及び人権が尊重され、社会の理解と協力を得て、研究の適正な推進が図られること」を目的としています。
内容は、試料の提供を求める際にはインフォームド・コンセントを行い、個人情報の保護は徹底することが重要だとしています。研究を行うときには必ず外部の人が参加した倫理委員会を設置して、研究が適切であるかどうかの判断などをすることが基本だとしています。研究の透明性を確保するために情報公開を積極的に行い、遺伝性疾患に関してはカウンセリングなど十分に配慮することを求めています。しかし、これらの指針を守らなくても罰則規定がないのは問題だと指摘する倫理問題の専門家もいます。

「3日でわかる遺伝子」(ダイヤモンド社)より

まだ、ゲノム時代の研究や情報公開に関する社会的な規範や倫理基準は検討がはじめられて時間がたっていません。厚生労働省などもホームページなどで情報を公開して、広く国民の意見を聞く方針にしています。ゲノム時代を明るい未来とするためにも、これらの問題を真剣に考えて、クリアしていかなければなりません。

* バイオ関連の先端研究は日々発展し続けております。本サイト内に記載された内容は全て記載日での公開研究情報に基づく内容となっております。